債務整理弁護士による任意整理、自己破産、個人再生、過払い金、会社整理

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愛知県名古屋市の債務整理弁護士による自己破産・再生・過払い・法人会社整理破産のご相談

名古屋丸の内 金山 一宮 岡崎

奨学金の減額返還、返還期限猶予制度の利用について

はじめに

自己破産を検討する場合、奨学金の借り入れの有無は重要なチェックポイントになります。

奨学金を借り入れる場合、借りる方の両親や親族が保証人になることが多いです。破産した場合、免責許可決定が得られれば、奨学金の弁済義務はなくなります。 しかし、保証人の弁済義務はなくなりません。主債務者が破産した以上、保証人が奨学金の弁済義務を負うことになります。

保証人に対し、誠意をもって事前に破産することを伝えたうえで、保証人の理解を得られれば、破産することも選択肢の1つになります。 もっとも、両親や家族に破産することを知られたくない、保証人に迷惑をかけたくないと考える方も多く、実際に破産を断念することも少なくありません。

奨学金の返還に関する制度

そこで、注目すべきは、奨学金の減額返還制度、返還期限猶予制度の利用です

減額返還制度とは、奨学金の毎月の返還額を減額して返還することができるというものです。 災害、傷病、その他経済的理由(年間給与収入金額が325万円以下)により奨学金の返還が困難な方の中で、 当初約束した割賦金を減額すれば返還可能である方を対象としています。 適用期間は12か月で最長15年(180か月)まで延長可能です。
利息を含む返済予定総額は変わりませんが、月々の返済額を1/3ないし1/2にすることができます。

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返還期限猶予制度とは、災害、傷病、経済困難 (年間給与収入金額が300万円以下)、失業などの返還困難な事情が生じた場合に返還期限の猶予を願い出ることができるものです。
利息を含む返済予定総額は変わりませんが、最長10年間(120か月)まで、月々の返還を先に延ばすことができます。

上記収入基準を超える場合であっても、一定の要件を見たせば減額返還制度を利用することが可能です。詳細は、独立行政法人日本学生支援機構のHPをご覧ください。 https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/gengaku/tetsuzuki/shoumei/keikon/koujo/index.html
令和3年度では、減額返還制度の利用により、月の返済額を1/2にされた方が11,776件、 1/3にされた方が24,418件あります。
独立行政法人日本学生支援機構HPより https://www.jasso.go.jp/about/disclosure/iinkai/kikanhosyokensyoiinkai/2019_2023/__icsFiles/afieldfile/2023/06/30/r04_1_s01.pdf

終わりに

当該制度を利用することで、債務全体の月々の弁済額が減った結果、自己破産をしなくても弁済可能になることも考えられます。奨学金の借り入れがある場合には、上記制度の利用を検討されてみてはいかがでしょうか。

法人破産の解決事例

※プライバシー保護のため、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で内容を変更して紹介している場合があります。

事例20 代表者死亡により妻が代表者になり法人破産しました

会社の概要

会社のイラスト

愛知県名古屋市港区 N社


業種 木材販売
年商 270万円
従業員数 0名
負債状況 負債総額1億2100万円、 債権者数7名
その他 現代表者は自己破産を申立てました。

代表者が亡くなりました。もともと代表者一人で営んできており、後継者不在です。
代表者が永らく病床に伏していたため、ここ数年会社は休眠状態でした。
登記上もう一人の取締役である妻と会社とは関わりのない長男が、この会社と負債について
どうしたら良いか、相談にいらっしゃいました。

解決のご提案と結果

代表取締役が不在になり、このままでは法人破産をすることができません。
この会社の定款では取締役が2名以上と定められていたものを、定款変更して取締役1名以上としました。
こうして残された妻が取締役ひとりである会社になり、法人破産ができる形になりました。

(法人破産手続き)
残された預金と親族の援助で破産費用はなんとか賄えそうです。
現代表者(妻)は事業についてほぼ把握していなかったのですが、ここ5年程度、事業をされていなかったようです。
唯一の財産は車検証上所有者になっている古い車両のみです。
2年前に売却済であることを説明して、法人破産の申立をしました。

(代表者の自己破産手続き)
前代表者(夫)の死亡後、妻以外の親族は相続放棄をしました。
現代表者(妻)は前代表者(夫)の債務も相続しまして、破産手続きをしました。
自宅を所有していましたので早めに転居し、破産手続きは終結し、無事免責されました。

弁護士の所感

法人の破産をする場合、後継者がいないなどの理由で代表者が不在の場合もあります。
そのような際に法人の破産をしようとすれば、まずは代表者を決める必要があり、それによりひと手間かかります。

法人破産の解決事例

※プライバシー保護のため、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で内容を変更して紹介している場合があります。

事例19 緊急事態宣言発令で注文激減、巻返しの別事業も計画断念

会社の概要

店舗

愛知県名古屋市港区 D社の場合
代表者はそれまで個人で建設業を営んできましたが、数年前に法人成りを果たしました。
順調な経営でしたが、コロナのため緊急事態宣言発令を境に注文が激減してしました。
また、別業種への参入を計画し、金融機関から新たな融資を受けたばかりでした。
コロナ禍では別業種の開店もままならず、金融機関への返済が困難になり始め、
事業を全てたたむ覚悟をして、相談にいらっしゃいました。


業種 建設業
年商 1億900万円
従業員数 3名
負債状況 負債総額7900万円、 債権者数24名
その他 代表者は自己破産を申立てました。

解決のご提案と結果

相談時には会社財産がなく、裁判所に納める費用も準備できない状態でしたが、 事業譲渡の話があるということなので、事業の価値より高いと思われる譲渡価格で、まずは事業譲渡を行い、 そのうえで、破産へ進めていくことにしました。

裁判所では、事業譲渡の評価額の妥当性について質問されましたが、この点を説明し、破産手続きが終了しました。

なお、リース契約がありましたが、事業譲渡先が使用したいということで、この引継ぎも行いました。

(法人破産手続き)
残された預金で破産費用はなんとか賄えそうです。
もっとも、会社と個人の財産の混同が生じているため、使途不明金につき、丁寧な説明が求められます。
また、労務関係を商工会議所に委託していたため、そちらの委託解除を求められました。
法人所有のパソコンの売却、社宅にかけていた火災保険の解約、賃貸借契約物件の保証金の返還など
換価手続をいくつか経て、無事に破産手続きが完了しました。

(代表者の自己破産手続き)
代表者は、すぐに再就職することができました。
めぼしい財産を持たないため、自己破産しました。
浪費を指摘されましたが、無事に免責許可が出ました。

弁護士の所感

  • 会社の経理担当が不在になってから、出入金の管理が不充分になっていました。
  • また、口頭での契約等も多々あり、使途不明金がたくさん生じていました。
  • 使途不明金や浪費の事情によっては、免責が許可されないことも心配されたため、会社の財産と個人の財産につき
    丁寧に説明を行い、無事免責が許可されました。
  • 会社における日頃の帳簿整理の重要性を改めて実感しました。

破産手続の開始が認められない場合

顎に手を当てて考える男性

破産の手続は、債務者の財産の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者の経済生活の再生の機会を図ることを目的としたものです(破産法1条)。

上記の目的を達成するために、破産手続においては、債務者の財産を換価して、債権者に平等に配当する手続と、個人の債権者については、一部の限定的な債務を除いては一切責任を免れることができるようになるための手続(免責の手続)を行います。

破産手続きの開始

債務者が破産手続きの原因となる事実がある場合には、破産手続開始の申立てをすると、裁判所がこれを受けて破産手続開始決定をします(破産法30条)。

しかし、例外的に、以下の2つの場合には、破産手続開始の決定をすることが認められません。

破産手続の費用の予納がないとき(破産法30条1号)

1つ目は、破産手続の費用の予納がないときです。

これは、要するに、予納金を裁判所に納めるまでは破産手続は開始しないということです。

もっとも、破産手続開始の申立てをする場合には、予納金については準備をしていることが一般的ですので、あまり問題にはならないかもしれません。

不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき(破産法30条2号)

2つ目は、不当な目的で破産手続開始の申し立てがされたときその他申立てが誠実にされたものでないときです。裁判所の手続を用いてその手続が本来予定していない不当な目的を達成することを認めるべきではないからです。

この点についての近時の裁判例として、令和2年11月17日の仙台高裁決定がありますので紹介します。

事案としては複雑なのですが、簡単に言うと、債務者の唯一といってもいいとある事業の承継を受けた者が、債権者として債務者の破産を申し立てたものです(破産は、債権者が申立てることもできます。)。この事業承継には、買い戻しの特約が付いていたり、その価値と比べてかなり安く代金額が設定されており、また、債務者としても、破産を開始しなければ債権者が害されるような緊急の状況にはありませんでした。

そのような状況で破産を申し立てたのは、債務者が破産により消滅することになることで、事業に譲渡を受けたその事業の利益を不当に独占しようとしたからではないかということで問題になったのですが、結論としては、不当な目的であるとして破産手続の開始を認めるべきでないと判断されました。

上記の判例は、状況としては特殊ですが、一般的には、債権者からの取り立てを回避することのみを目的として債務者が申立てをしたり、債権者が交渉を有利にすすめるために債務者の破産を申し立てることは不当な目的であるとして破産手続きの開始が認められないことがあります。

おわりに

なお、破産手続自体を通じて不当な目的を達成しようとすることが認められないのは上述した通りですが、これに該当しないとしても、否認や免責不許可、非免責債権の規定等がありますので、破産手続の以前から終了に至るまで不当な目的での行動や不誠実な行動は慎まなければなりません。

任意整理の解決事例

※プライバシー保護のため、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で内容を変更して紹介している場合があります。

事例13 一括返済を求める通知が来てしまいました…

男性

T様 40代後半 会社員 の場合

住宅ローンや自動車ローンは問題なく返済できていますが、消費者金融で借りたお金の返済が滞ってしまい、
一括返済を求める連絡が来てしまいました。
滞ってしまった消費者金融の対応に困り、弊所に相談にいらっしゃいました。


借金
消費者金融会社 1社 310万円 取引期間 4年
合計 310万円

債務整理の手段についてもどのような手段を取るべきかを悩んでいらっしゃいました。
本人としても自己破産等は避けたく、家計の状況を家族内でまとめてもらった結果、返済原資が一定額確保できることが判明しましたので、
任意整理を選択し、債務整理を進めていくこととなりました。

手続きの結果

借入先 借入期間 借金
(ご相談前)
借金
(手続き後)
成立した協議の内容
消費者系金融A社 4年 320万円 320円 “毎月50,000円48回払い
但しボーナス月に13万円の加算あり”
合計 320万円 320万円

取引履歴を取り寄せ、依頼者様が確保できる返済原資額の枠内での和解提案をいたしましたが、
債務残高が大きいため、収支等の報告をしてもらわないと和解が厳しいとの返答がありました。
そのため、依頼者様に家計の状況や今後の大きな出費の予定、月収・賞与について再度聞き取り、
賞与月には通常時の返済額に加算をした額を支払うことで和解することができました。
したがって、時効消滅せずに、元金を分割返済する和解をしました。
どこまでの分割払いに応じるかは債権者によって異なります。
あらゆる事態を想定したうえで、今後の生活と毎月の返済額を踏まえた家計状況の見直しが必要だと思われます。

手続きの費用

費用 支払方法
着手金 2万円 一括払い
弁護士報酬 3万円 一括払い

過払い金請求の解決事例

※プライバシー保護のため、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で内容を変更して紹介している場合があります。

事例50 亡くなった兄の家から完済証明書が出てきました。

女性

O様(女性 60代前半)主婦 名古屋市

1年前に婚姻歴のない兄が他界してしまいました。
遺品整理のため、兄の自宅を訪れると借金の完済証明書が出て驚きました。

もしかしたら、兄の借入に過払金が発生するかもしれないと思い、弊所に相談にいらっしゃいました。

借金の状況
消費者金融 1社 0万円 取引期間 23年間
信販系金融会社 2社 0万円
銀行系信用保証会社 1社 0万円
合計 0万円

取引履歴を取り寄せ、引き直し計算をしてみると、4社のうち2社から過払金が発生していることが判明しましたが、その内1社は最終取引日から10年以上経過しているため、時効の関係上、過払金の請求は断念しました。
残り1社については、金額も大きく、当初裁判外で過払金返還の交渉を進めましたが、納得の行く回答を得ることができなかったため、訴訟を提起した上で、引き続き交渉を進めていくことにしました。

手続きの結果

借入先 借入期間 借金 (ご依頼前) 借金 (手続き後)
アコム H8~R2 0万円 -990万円
合計 0万円 -990万円(過払金)

手続きの費用

費用 支払方法
着手金 無料(完済)
弁護士報酬 209万円 回収した過払い金より精算

遺品整理中に債務に関する書類が出てくると、驚くのと同時にどういったものなのか不安になる相続人の方も多くいらっしゃると思います。
過払金は最終取引日から10年以上経過すると、どれだけ大きな金額の過払金が発生しても、時効の関係上、請求が困難となります。
特に亡くなられた方の過払金については、経緯や事情等がわかりませんのでそのような書類が出てきた場合には、できるだけ早めに弁護士に相談することをおすすめします。

2023年1月~6月 お客様の声

当事務所を御利用いただいたお客様へのアンケートから、掲載許可をいただいたものについてご紹介しています。

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No.95 S.H 様

スタッフの対応

スタッフの対応

■ ご意見・ご感想をお聞かせください。

⇒ 大野貴央様

過払金請求ではたいへんお世話になりありがとうございました。

初めての法律事務所利用で、少し不安な気持ちでしたが、親切かつ丁寧な対応で、気持ち良く取引ができました。

過払い金請求の解決事例

※プライバシー保護のため、事例の趣旨に影響を及ぼさない範囲で内容を変更して紹介している場合があります。

事例49 クレジットカードのキャッシングを完済したが過払い金があるかも…

男性

Kさん(名古屋市 男性50代前半 会社員)の場合

以前にもクレジットカードのキャッシング利用をし、過払い金の返還を受けた経験がありました。

新たにクレジットカードのキャッシングを完済したため、この借入に関しても過払い金が発生しているかどうかが気になり、弊所に相談にいらっしゃいました。

借金の状況
信販系カード会社 1社 0万円 取引期間 23年間
合計 0万円

受任後すぐに債権者に通知を送り、取引履歴を取り寄せたところ、同じ債権者で複数のキャッシングを利用していたことが判明しました。
また引き直し計算をしたところ、過払い金が発生する取引については消滅時効が迫っていたため、早期に過払い金の支払通知書を債権者に通知しました。
債権者と協議を重ねた結果、和解から短い期間で依頼者様が納得のいく過払い金の返還を受けることができました。

手続きの結果

借入先 借入期間 借金 (ご依頼前) 借金 (手続き後)
三菱UFJニコス H14~H29 0万円 -130万円
合計 0万円 -130万円(過払い金)

手続きの費用

費用 支払方法
着手金 無料(完済)
弁護士報酬 30万円 回収した過払い金より精算

特に信販系カード会社の場合、違うブランドのカードでも発行元が同じ会社であることがあり、複数の取引履歴が出てくることがあります。
その場合には基本的に取引ごとに過払い金が発生するのかを確認していくことになります。
そのため、過払い金が発生する取引はすでに時効期間が過ぎてしまっていたということもあり、過払い金の請求ができなくなってしまうケースもあります。
過払い金が発生しているような取引について身に覚えがある場合は、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。

債務整理のご相談前にご確認いただきたいこと

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債務整理には、大きく分けて任意整理、個人再生、破産の3つの方法があります。

弁護士は、どの方法が依頼者にとってベストなのかを考えながら相談に臨んでおります。

どの方法を選択するのか判断する重要な要素として、住宅を所有しているか、借金の総額がいくらで、その使用用途は何か、税金関係の滞納があるか等があります。

そこで、ご相談をより円滑かつ充実した内容にするために、ご相談の前にご確認いただきたいことについて、詳しくご説明させていただきます。

住宅について

債務整理を行っても住宅を残すことができる場合があります。

そこで、相談時には、①住宅を所有しているのか、②住宅ローンがあるのかを弁護士にお伝えください。
不動産登記簿や、住宅ローンの残高がわかる資料をお持ちいただけると大変助かります。

借金について

借金の総額によって、選択できる方法が異なります。また、債務整理を実施するなかで、ほかにも借金があったことが判明した場合、債務整理の手続きの進行が遅れるほか、場合によっては債務整理手続き自体が行えなくなる可能性もあります。

そこで、③借金の総額については、できる限り正確な情報を弁護士にお伝えください。

金融機関からの借り入れだけでなく、携帯電話の本体料金を分割で支払っていた場合も借金に当たります。ほかにもクレジットカードのリボ払いも借金です。

ご相談前に一度、ご自身の借入状況をご確認ください。

また、④借入した金銭をどのように使用したかも重要です。借金の総額と合わせて弁護士にお伝えください。

税金の滞納について

通常、債務整理手続きを開始した後は、債権者からの弁済要求はストップします。

しかし、税金の支払い請求を止めることはできません。特に、税金の滞納がある場合、債務整理手続き開始後に差押えが行われる危険性もあります。④もし、税金の滞納がある場合には、早急に弁護士へお伝えください。

おわりに

任意整理、個人再生、破産の3つの方法のうち、いずれを選択するのかは、債務整理の出発点になります。

多くの場合、上記①から④の事情をお聞きすることになりますが、早期の問題解決のためにご協力いただけると幸いです。

破産するための条件、「支払不能」

自己破産、という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。借金で首が回らない人が検討するもの、という印象があるかと思いますが、そもそも、破産とは何でしょうか。

破産とは、債務者の財産を処分することにより金銭化し、その金銭を債権者に配当する手続です。どういうことかと言いますと、首が回らなくなった債務者の、不動産や車や保険などの財産を全部金銭化して、債権者で分けましょうということです。もちろん、首が回らなくなっている債務者ですから、全債権が満額回収できることにはなりません。それどころか、ほんのわずかな割合の債権しか回収できないことがほとんどです。しかし、破産手続がなければ、債務者のわずかな財産を債権者が奪い合うことになります。それを避けるための制度なのです。

破産手続に連動して、免責制度というものがあります。これは、破産手続に連動して行われる別の手続で、破産手続によって債権者に配当された分を除いて、債権を免れることのできる手続です(破産法253条1項)。破産する人の真の狙いは、破産制度そのものというよりも、免責制度です。しかし、免責できない場合もある(破産法252条1項各号、同法253条1項各号)ので、注意が必要です。

1.支払不能であることが必要

債務から解放されたい人は誰でも破産できるのかというと、そうではありません。破産手続を開始するためには、「支払不能」にあることが必要(破産法15条1項)です。

支払不能とは、「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態」(破産法2条11項)を言います。

一般的かつ継続的に、というのがポイントです。「一般的に弁済することができない状態」とは、債務の一部だけを弁済できないのではなく、弁済期にあるすべての債務を弁済できないことを指します。「継続的に弁済することができない状態」とは、一時的な資金不足というわけではなく、今後弁済できるようになることがない状態を指します。企業で例えますと、現在は弁済できないけれど、5日後に大口の取引先から多額の売掛金が回収できる、それがあれば弁済できる、という状態は「継続的に弁済することができない状態」にはあたりません。

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2.支払停止があれば支払不能と推定される

支払不能かどうかを判断するのを容易にするため、破産法は、債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定するとしています(破産法15条2項)。支払を停止(以下、「支払停止」といいます。)とは、ただ支払をやめるということではなくて、「債務者が、支払能力を欠くために弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済できないことを外部に表示する行為」を指します。典型的なのが、6か月以内に2回手形の不渡りを出すことです。

しかし、何が支払停止にあたるかは、明確なリストがあるわけではなく、判例・実務の積み重ねによって判断されているのが現状です。

ある判例では、債務者が債務整理の方法等について債務者から相談を受けた弁護士との間で破産申立の方針を決めただけでは、特段の事情がない限り、債務の支払をすることができない旨を外部に表示する行為をしたとはいえないため、支払停止にあたらないとしました(最判昭和60年2月14日)。

またある判例では、東京都職員であるAが、弁護士法人B法律事務所に債務整理を委任し、同事務所の弁護士らが、債権者一般に対し、「当職らは、この度、後記債務者から依頼を受け、同人の債務整理の任に当たることになりました」「今後、債務者や家族、保証人への連絡や取引行為は中止願います」などと記載した通知をしたところ、この通知(以下、「本件通知」といいます。)をもって支払停止にあたるかが判断されました(最判平成24年10月19日)。最高裁は、Aが単なる給与所得者であり広く事業を営む者ではないという事情を考慮し、Aの代理人が債権者一般に対して本件通知を送付した行為は、Aが支払い能力を欠くために一般的かつ継続的に債務の支払をすることができないことが少なくとも黙示的に外部に表示されているとみるのが相当であるとしました。

このように、実際に支払停止に当たるか否かが裁判で争われることもあるのです。

3.支払不能か否かが争われた事例

支払停止をしたとしても、支払不能が推定されるだけです。ですので、支払停止があっても支払不能にないことが債権者や債務者によって証明されれば、破産手続は開始されません。

逆に、支払停止がなかったとしても、支払不能であると認められれば、破産手続は開始されます。

昔、片山内閣の大蔵大臣、芦田内閣の国務大臣を務めたCが破産の申立てをし、破産宣告(今でいう破産開始決定)を受けた際に、Cの債権者が、Cは支払不能の状態にないとして争った事件があります。このとき、東京高裁は、「およそ支払不能とは、債務者が一般に金銭債務の支払をすることができない客観的状態をいうのであって、人の弁済力は財産信用及び労務の三者から成立するものと解せられる」とし、Cの財産、信用及び労務を検討した結果、Cは「全く支払不能の状態にあるものと認めざるを得ない。」としています(東京高裁昭和33年7月5日決定)。

以上のように、破産手続は誰でも開始できるものではなく、支払不能であることが必要になります。そして、何が支払不能に当たるのかは明確な基準があるわけではなく、法的な判断が必要です。ぜひ、弁護士にご相談ください。

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