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昨今はラジオやテレビで、過払金返還請求をうたう宣伝があふれています。「お電話一本で何十万円が戻ってくる!!」
……そんな簡単にいくなら士業はいりません。
過払金返還請求をするために、まず、過払金があるかを調査します。 取引履歴を貸金業者に提出してもらい、利息制限法に違反して高額な利息を取っていた分を、 利息制限法で定められた利息に引き直して計算し、過払分を算出します。
過払分がわかったら、貸金業者に返還を求めます。この段階ではまだ訴訟は提起せず、まず交渉を図ることになります。 「そうですか! わかりました、お返しします!」 とすんなり返還に応じる貸金業者はほぼありません。あの理屈この理屈で、返還額を少しでも下げようとします。
その理屈の一つが、「貸付停止の抗弁」です。
貸付停止の抗弁は、ある判例対策のために生み出されたものであると言えます。
ここから少し法的に立ち入った話になります。
そもそも、過払金の返還を求める権利は、法的にいえば「不当利得返還請求権」となります。
この不当利得返還請求権は、権利を行使することができることを知った時から5年、
権利を行使することができる時から10年で消滅時効にかかります(民法166条)。
では、この「権利を行使することができるとき」は、いつになるのでしょうか。
利息制限法で定められた利息よりも高額な利息を払ったとき、つまり、過払金が発生したときのように思えます。
しかし、それでは、すでに消滅時効にかかる過払金がほとんどになりますし、過払金がぶつ切りで生じ、ぶつ切りで消滅時効にかかることになります。
時効の起算点は、過払金が発生した時なのでしょうか。
「権利を行使することができるとき」がいつかについて判断を下した判例があります。
最判平成21年1月22日です。
貸金業者である被告との間で借入れと返済を繰り返してきた原告の契約について、
「一個の基本契約に基づき継続的に貸付けと返済が繰り返される金銭消費貸借取引によるものであることは、当事者間に争いがなく、
弁論の全趣旨によれば、上記基本契約は、
各借入債務に対する各弁済金のうち利息制限法所定の制限を超過する部分を元本に充当した結果、
過払金が発生した場合には、上記過払金を、弁済当時存在する他の借入債務に充当することはもとより、
弁済当時他の借入金債務が存在しないときでも後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものと認められる。」
とした東京高判平成19年12月13日の事実認定を肯定し、
「このような過払金充当合意においては、新たな借入金債務の発生が見込まれる限り、過払金を同債務に充当することとし、
借主が過払金に係る不当利得返還請求権(以下「過払金返還請求権」という。)
を行使することは通常想定されていないものというべきである。
したがって、一般に、過払金充当合意には、借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点、
すなわち、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していれば
その返還請求権を行使することとし、それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず、
これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当である。
そうすると、過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては、
同取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となるというべきであり、
過払金返還請求権の行使を妨げるものと解するのが相当である。」
「したがって、過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては、
同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は、過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど
特段の事情がない限り、同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である。」
と判示しました。
つまり、過払金返還請求において、時効の起算点である「権利を行使することができるとき」は、 貸金業者との取引が終了した時点=完済時であるとしたのです。
これにより、貸金業者は、完済時から10年間は過払金全額が消滅時効にかからないという憂き目に遭うことになりました。
そこで、貸金業者は、時効の起算点を少しでも前倒しをすべく「貸付停止の抗弁」を生み出しました。ざっくり言うと、
「弊社は、契約者であるAさんに〇年〇月〇日に貸付停止をしている。これ以降は、弊社からAさんに貸付をすることはなく、
Aさんからの返済をうけるのみとなっている。したがって、〇年〇月〇日以降は新たな借入金債務の発生が見込まれなくなったのであるから、
完済時ではなく、それより前の〇年〇月〇日に過払金返還請求をすることができるようになった。〇年〇月〇日が時効の起算点である。」
というものです。
貸付をしないといっても、「今は」貸付をしないが、事情が変われば今後また貸付をすることもある、 というのであれば、今後新たな借入金債務の発生が見込まれないとは言えません。 また、そもそも、貸付停止をするということが契約者(Aさん)にきちんと伝わっていなければなりません。
裁判例には、貸付停止の抗弁が認められたものと認められなかったものがあります。
基本契約の契約書の内容、貸金業者において、貸付停止措置が解除されることが予定されている運営だったかどうか、 利用明細票の記載内容等を考慮して判断しているようです。
貸金業者に対して過払金の返還請求をした際、「貸付停止の抗弁」を主張されることは多いですが、
「当時の契約書はありますか?」「契約者本人にはどのような手段で貸付停止を伝えましたか?」「どうして貸付停止をしたのですか?」
と聞いても、記録が残っていませんという返答が返ってくることもあります。
貸付停止をしたこと、貸付停止が永続的なものであること、それを契約者に伝えたことの立証責任は貸金業者が負います。
交渉で相手方が払わないのであれば裁判を提起して返還を求めることになりますが、もし裁判になった場合でも、
それらの記録が本当にないのであれば、貸付停止の抗弁は認められないのではないかと感じることもあります。
しかし、裁判に絶対はありません。こちらが証拠不十分だと感じても裁判官が貸付停止の抗弁を認めるかもしれませんし、 交渉の段階ではないと言っていた記録を実は貸金業者が持っている可能性もあります。 また、裁判には時間も費用もかかります。
実際に裁判をするのか、ということを考えると、交渉の段階で妥協点を探さざるを得ない、ということも多いです。
「お電話一本で何十万」とは程遠い現実が横たわっています。
貸付停止の抗弁は時効に関わる抗弁です。対策としては、時効にかかる前に少しでも早く請求するのが一番です。
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