弁護士法人名古屋総合法律事務所は、債務整理・相続・離婚・交通事故・不動産法務・中小・中堅企業法務の6分野に特化した法律事務所です。
弁護士 浅野 由花子
近年はクレジットカード、電子マネー、バーコード決済などキャッシュレス決済が発達しており、カード発行会社も非常に多く存在していること、様々なキャンペーンが行われていることから、どこからいくら借りたかを覚えていないという方もいらっしゃいます。
借入先の確認方法については、「債務整理をしたいけれど、どこから借りたのか覚えていません」でご紹介したとおりです。
では、返済を長らく求められておらず借入の事実を本人も忘れているなどして、一部の債権について債権者名簿に記載がないまま、破産手続が開始され、免責許可決定を受けた場合、どのような影響があるのでしょうか。
免責許可決定の要件においては、虚偽の債権者名簿を提出したこと(破産法252条1項7号)、破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと(同条8号)が免責不許可事由とされています。
それでは、債権者名簿の記載漏れがこの事由に該当するのでしょうか。
この点、令和3年6月28日東京高裁判決は、虚偽説明(8号)について、故意に虚偽を述べる場合だけでなく、記載漏れのように本来説明すべき重要事項を積極的に説明しない場合も含まれるとしました。
そして、同条の趣旨は裁判所の監督下における破産手続の適正な遂行確保としたうえで、記載事項の複雑性、記載の趣旨や記載事項が手続の適正確保に与える影響が様々であること、その記載の経緯・理由も様々であることから、記載内容及びそれが財産関係の把握や免責拒否の判断に与える影響の有無・程度、記載漏れの理由や経緯、裁判所からの確認の有無とそれに対する債務者の応答等といった事情を考慮して、虚偽記載該当性を判断するとしています。
また、虚偽の債権者名簿の提出(7号)の趣旨は免責手続の適正な遂行のためであるが、免責不許可という重い制裁があることを踏まえると、免責手続の遂行を妨害し又は債権者を害する目的で、意図的に記載し又は記載しなかった場合をいうとしています。
したがいまして、借入の事実を忘れていたような場合には、虚偽の債権者名簿の提出(7号)とはいえず、また個別具体的事情によっては虚偽説明(8号)にも当たらないという場合があります。
そして、免責不許可事由に該当した場合でも、裁判所は裁量免責(破産法252条2項)をすることができます。
これは破産者の更生を容易にする免責制度の趣旨・目的から、その事実が軽微で、破産者の不誠実性が認められないときは、裁判所は裁量によって免責を許可できる制度です。これについては、記載漏れや事実と異なる記載があったケースで、免責不許可事由該当性を前提として、違法性の程度が軽微であるため、裁量による免責許可決定の相当であるとしたものもあります(昭和60年2月1日福岡高裁判決)。
これらを踏まえると、その額があまりにも多額で破産手続に与える影響が大きく、およそ失念しがたい額である、裁判所から確認されていたなどの事情がある場合には、免責許可決定が争いになりうると考えられます。
なお、大前提として、通帳記録やカード類などといった財産資料等から心当たりのある借入先を洗い出し、債権調査を尽くすべきことであることは勿論です。
破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)(破産法253条1項6号)については、非免責債権とされています。
なお、非免責債権については「免責されても支払い義務がなくならない非免責債権」をご覧ください。
この点、平成15年6月24日東京地裁判決は、同号の趣旨は債権者名簿に記載のない債権者は、破産手続の開始を知らない場合は免責に対する異議申立ての機会を失うため、このような債権者を保護するものとしたうえで、破産免責制度が、不誠実ではない破産者の更生を目的とする以上は、債権の存在を認識しながらこれに記載しなかった場合には免責されないことは当然として、債権者名簿作成時には債権の存在を失念したことにより記載しなかった場合、それについて過失の認められるときには免責されない一方、過失の認められないときには免責されると解するのが相当であるとしています。
したがって、個別具体的事情に照らし、記載しなかったことについて過失がないといえる場合には、例外的に面積が認められることとなります。
上記のような判例をご紹介しましたが、そもそもは債権者名簿に漏れがない状態で免責許可決定を受けることが望ましいことは言うまでもありません。
債務整理についてご相談がある方は、当事務所にご気軽にご相談ください。
【ご相談予約専門ダイヤル】
0120-758-352
平日・土日祝 6:00-22:00
【相談時間のご案内】
| 平日 | 9:00-18:30 |
|---|---|
| 夜間 | 17:30-21:00 |
| 土曜 | 9:30-17:00 |
※夜間相談の曜日は各事務所により異なります
詳しくはこちら▶
事務所外観




より良いサービスのご提供のため、債務整理の取扱案件の対応エリアを、下記の地域およびその周辺地域に限らせて頂いております。
法人破産に関しては、広域対応をさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
【取り扱いエリア】
愛知県西部
(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区, 豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村), 一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町))
愛知県中部
(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部
(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村))
岐阜県南部
(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
三重県北部
(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
三重県中部
(津市,亀山市,鈴鹿市)
静岡県西部
(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)
〒460-0002愛知県名古屋市中区丸の内二丁目20番25号 メットライフ名古屋丸の内ビル6階 TEL: 052-231-2601(代表) FAX: 052-231-2602 初めての方専用フリーダイヤル:0120-758-352
■提供サービス…交通事故、遺言・相続・遺産分割・遺留分減殺請求・相続放棄・後見、不動産・借地借家、離婚・財産分与・慰謝料・年金分割・親権・男女問題、債務整理、過払い金請求・任意整理・自己破産・個人再生、企業法務、契約書作成・債権回収、コンプライアンス、雇用関係・労務問題労働事件、対消費者問題、事業承継、会社整理、事業再生、法人破産
■主な対応エリア…愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,
豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村),
一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町)
愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村))
岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,
大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)
静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)