自己破産増加と誤認識、毎年10万~20万件の自己破産が!

最高裁判所の統計によると、ここ10年近くは、自己破産の申立件数がずっと増加してきましたが、2004年に減少に転じました。自己破産者が減少した要因は、景気回復や金融業者への規制強化が考えられます。2004年1月に施行されたヤミ金融対策法により、無登録業者への広告禁止、高金利要求罪が適用され、全国の都道府県警察でも取締りを強化している効果もあるとのことです。
しかしながら2008年は約13万件と、ピークだった03年の24万2000件から徐々に減っていますが、98年の10万4000件よりも多いという状態が続いており、毎年10万~15万件の自己破産が申請されているなど、ここ10数年で自己破産は非常に多くなっています。

サラ金やクレジットローンを利用して多重債務に陥り、返済できなくなってヤミ金融から借金し、自殺や夜逃げ件数の増加、ホームレスになる人などが増えるなど、大きな社会問題となりました。04年には破産法が改正され、自己破産がより利用しやすい制度になったことも、自己破産が増加した大きな理由とされています。


「自己破産すると人生が終わり・・・」そんなことは全くありません!

「自己破産」に対して皆様はどのような認識をお持ちでしょうか。ここでは皆様から頂いた相談の中で非常に多かった自己破産に対する認識についてご紹介いたします。
破産しても借金取りが執拗に取り立てに来る
親、兄弟、配偶者に取り立てに来る
会社を解雇される
戸籍・住民票に「破産」歴が記載される
給料が差し押さえられる
年金・生活保護・失業保険等が差し押さえられる
現金はおろか、家財道具など全てを取り上げられる
家・アパートを追い出される
選挙権がなくなる

上記のような認識をお持ちの方が多く見受けられますが、中には自己破産という言葉の響きから「自己破産をすると人生が終わり・・・」と考えてしまう方もいるようです。

しかしながら、それら自己破産に対する認識の多くは「勘違い」であることが殆どです。

自己破産した後の生活

  05年に改定された新破産法によって、自己破産の定義が大きく変わり、それまでの対応と大きく変化しました。
例えば、99万円までの現金と差押禁止の財産(生活に必要な衣服や家具など)は自由に使えます。破産手続開始決定後に取得した給料は、破産者が自由に使うことができ、さらに恩給や失業保険、年金なども受け取ることができます。借家の場合は、破産を理由に契約を解約されることはありません。賃貸料を払い続ければ住むことができます。

生命保険は解約払戻金が高額であれば、解約払い戻しされて債権者への配当に当てられます。但し、破産管理人から買受ることにより解約を防ぐことも可能です。

 自己破産した場合、「破産手続開始決定」が出ると官報に名前が記載されます。ただし、一般の人が官報を見ることはほとんどなく、裁判所が勤務先などに通知することもありません。万一、会社に知られたとしても自己破産したことを理由に解雇することはできません。
 自己破産しても選挙権や被選挙権など公民権が停止されることもなく、住民票や戸籍に記載されることもありません。ただし、後記の資格制限のように弁護士や司法書士、宅地建物取引業者などの限られた仕事に就けなくなりますが、「免責許可決定」がおりればこの資格制限は解消されます。
 財産があって破産管財人が選任され破産手続きが行われている場合は、長期間の旅行などは裁判所の許可が必要になりますが、手続きが終われば自由に旅行もできます。

 自己破産の不利益としては、信用情報機関のいわゆるブラックリストに載って5年~10年くらいは銀行から融資が受けられなくなること、クレジットカードを作れなくなることが挙げられます。また、「免責許可決定」がおりて7年間は、再度の「免責許可決定」は受けられません。

このように、自己破産によって得られるメリットは非常に大きいということがいえるかと思います。
得るものが大きい破産だが、破産がそもそも不要な場合もあります。

このように、破産は得るものの方が圧倒的に大きいのだから、必要がある人は是非すべきです。ただし、誰でも必ず破産したほうがいいとは限りません。

そもそも、過払い金が多すぎて、借金が全部過払い(過払いの意味は、「過払い金について」を見てください)になってお金が沢山戻って終了したという事例や、一部過払い、一部残債務ありになり、過払い金の回収から残金がある会社に払って終わったという例もかなりあります。 
このようにそもそも借金がなくなってしまい、破産する必要がまったくない人もいます。
同様に、やはり、過払い金が結構あり、それを残金に当てると、残金がわずかであり、破産するほどではないこともあります。

当事務所では、皆様の状況に合った最適な債務整理手段をご提案させていただきますので、借金問題でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

資格制限

自己破産開始決定から、免責を受けるまでの期間ではありますが資格の制限を受けます。

①公法上の資格制限
•弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、社会保険労務士、中小企業診断士、通関士、建築士、宅地建物取引主任者、旅行業務取扱主任者、公証人、商品取引所会員、人事院の人事官、国家公安委員会委員、都道府県公安委員会委員、検察審査員、公正取引員会委員、教育委員会委員、建設工事紛争審査委員会委員、簡易郵便局、貸金業者、質屋、生命保険募集人、損害保険代理店、証券会社外務員、有価証券投資顧問業者、旅行業者、警備員、警備業者、通関業、宅地建物取引業者、建設業者、産業廃棄物処理業者、外国証券業者、風俗営業者、風俗営業所の管理者など

②民法上の制限
•後見人、後見監督人、補佐人、補助人、遺言執行者

③破産者と会社の取締役・監査役
以前の商法では、株式会社や有限会社の取締役や監査役、合資会社・合名会社の社員には、なることはできませんでしたが、現在の商法ではこれらは撤廃されています。現に、取締役である者が破産手続開始の決定を受けたときは、会社と取締役との間の委任関係が終了し取締役を当然に退任する(会社330、民653(2))(この点は、会社法制定によっても変更はない(旧商254③、民653(2))。監査役も同様です。
破産手続開始の決定を受けた者を新たに取締役、監査役に選任することはできます。


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